味覚

はるか昔、アメリカに住む友人を訪ねて行った時、レストランでロブスターを食べた。いいお値段だったので、期待していたのだが、出てきたのは、油でギトギトにされ、よく分からない装飾をされた、赤いハサミの目立つ、エビだった。油味。さっと茹でて、塩か醤油を少しつけて食べた方がよっぽど美味しいだろうにと思った。同じくステーキも、固くて、大味のパサパサした肉だった。周りのアメリカ人は何の疑問もなく、楽しく食事をしていた。そこで私が思ったのは、「アメリカ人てバカなのか」だった。日本人の繊細で、シンプルなのに、奥深い味わいを知らないなんて、それで満足しているなんて、きっとバカなんだと本気で思っていた。イギリスに行って、見た目だけ派手なケーキを食べた時も、騙された気がして、ガッカリしていた。しかし、あんなものを食べているのに、彼らが強いのは何故だ。不思議だ。ただ、はるか昔の話なので、今はもっと美味しいものを食べているのかもしれない。